近年スマートフォンから手軽に投資ができるようになったことや政府が投資を推奨していることから、資産運用に大きな注目が集まっています。
そのなかでも、「つみたてNISA」は投資初心者にもおすすめの積み立て型の投資制度です。
テレビやSNSでも取り上げられることが多いつみたてNISAですが、実際どのよう制度で何がお得なのでしょうか?
本記事では、気になるつみたてNISAのメリット・デメリットや、新NISAとの違いまで徹底解説していきます。
●つみたてNISAとは●
つみたてNISAとは、2018年に始まった新たなNISA(少額投資非課税制度)です。
そもそもNISAってなに?
・「NISA」とは2014年に日本国民の資産形成を後押しするために作られた税制優遇制度
・最長5年間、年間120万円の投資枠から得られた利益に対する税金が非課税
つみたてNISAもNISAと同様に毎年の投資枠から得られた利益に対する税金はゼロになりますが、投資枠は年間40万円で投資期間が最長20年間という点が大きく異なります。
つみたてNISAは投資のなかでも始めやすく、少額から毎月コツコツ積み立てをおこなう、長期間での資産形成を目指す方に適した制度です。
そんな投資初心者にもおすすめのつみたてNISAについて、メリットとデメリットを踏まえながらより特徴を理解していきましょう。
●つみたてNISAのメリット●
その①利益が非課税!運用益がまるまる手元に残る!
つみたてNISAの最も大きなメリットは20年間も利益が非課税になることです。
一般口座で投資信託の運用をおこなった場合、通常20.315%の税金が課せられますが、つみたてNISAを活用すれば、なんと税率が0%になるのです。
例えば、投資信託の運用で10万円の利益を得た場合、一般口座は10万円の20.315%にあたる20,315円が差し引かれた79,685円が手元に残ります。
しかし、つみたてNISAは税金が課せられないため10万円の利益がまるまる手元に残るのです。
そのため、通常差し引かれるべき税金分の金額も資産運用にあてることが可能になります。
その②少ない資金から投資を始められる!
口座を開設する金融機関によって最低積立額は多少異なりますが、つみたてNISAは月100円や1,000円など少ない金額から積立を開始できます。
「投資」と聞くと、大きな資金が必要になるイメージが浮かぶ方も多いかと思いますが、つみたてNISAは毎月少ない資金から運用が可能です。
非課税投資枠の上限自体は年40万円ですが、必ずしもすべて使い切らなければいけないというわけではありません。
自分で積立金額を設定できるため、はじめは生活に負担をかけない程度の金額を設定して無理のない範囲で運用を続けてみましょう!
その③買うタイミングを判断する必要がない!
つみたてNISAは投資のなかでも毎月一定の金額を同じ日に購入する「積立型」の投資です。
そのため、購入のタイミングに迷うことなくスムーズに投資を進められるメリットが得られます。
投資において購入のタイミングが重要なポイントですが、値段の動きを読んで購入のタイミングを判断するのは、投資初心者にはなかなか難しいでしょう。
つみたてNISAは投資するタイミングにこだわることなく長期的に購入することでリスクを軽減する方法を採用しているため、投資初心者でも運用しやすいです。
その④必要に応じていつでも引き出せる!
つみたてNISAは長期間の運用を目的とした投資制度ではありますが、必要に応じていつでも換金が可能です。
例えばこんなときに…
・事故や病気などの医療費 ・マイホームの購入
・子どもの留学費用 ・自家用車の買い替え
・海外旅行などの余暇資金 ・老後資金
もともと長期的な視線で投資をはじめたものの、様々なライフイベントでまとまった資金が必要になるケースもあるかもしれません。
つみたてNISAは好きなときに売却し現金化できるため「引き出せない不安感」もなく、より便利な投資として気軽に活用できます。
ただし、引き出した金額分の非課税投資枠が増えるわけではない点だけ注意してくださいね。
●つみたてNISAのデメリット●
その①購入できる商品が限定されている
つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた一定の「投資信託」に限られています。
個別の株式をはじめ、国内・海外REIT、新株予約権付社債などに投資することができないため、多くのラインナップから投資する商品を選びたい方にとっては大きなデメリットになります。
一方で「購入できる商品が限定されている」というデメリットは投資初心者にとってはメリットになり得ます。
つみたてNISA購入できる商品は金融庁が長期・積立にふさわしいと認めたお墨付きの商品です。
そのため、はじめから積立に適した商品に選択肢が絞られている状態になっています。
また、金融機関によって取り扱っている商品や数が異なるため、少しでも豊富なラインナップから選びたいという方は、口座開設前に、事前に購入できる商品を確認しておくと安心です
その②元本割れのリスクがある
つみたてNISAの対象商品がいくら金融庁に認められた積立に適する商品だったとしても、投資において「絶対にプラスになる保証」はありません。
これはつみたてNISAに限られたデメリットではなく、すべての投資で言えることです。
運用成績次第でプラスになることもあれば、相場の状況によって損失が発生し購入時よりもマイナスになってしまう「元本割れ」のリスクがあることも念頭においておきましょう。
●つみたてNISAと新NISAの違い●
現在の「NISA(一般NISA)」は、2024年には大きく改正されることをご存知でしょうか?
新たに「新NISA」が創設され、現在おこなわれている一般NISAとは大きく異なった仕組みへと変更されます。
ガラリと一新された新NISAにはどのような特徴があるのでしょうか、一般NISAと新NISA、つみたてNISAの違いを表にして比較してみましょう。
【つみたてNISA・一般NISA・新NISAの違い】
つみたてNISA 新NISA 一般NISA
1階部分 2階部分
非課税期間 20年間 5年間 5年間
非課税投資枠上限 年間40万円 年間20万円 年間102万円 年間120万円
投資方法 積立 積立 一括・積立 一括・積立
投資対象商品 金融庁の基準を満たした投資信託 金融庁の基準を満たした投資信託
(つみたてNISAと同じ) 上場株式・ETF・投資信託など 上場株式・ETF・投資信託など
口座開設期間 2042年まで 2024〜2028年 2028〜2023年
最大運用額 800万円 610万円 600万円
新NISAの最も大きな特徴は「2段階制度」であることです。
より多くの方の資産形成をはじめるきっかけとなるよう、新NISAは現行の一般NISAとつみたてNISA両方の性質が備わっています。
新NISAの仕組みを理解するためには、2階建ての家をイメージすると分かりやすいです。
家の2階部分を利用するには、まず1階を通らないといけないですよね。
それと同様に、新NISAは原則つみたてNISAの特徴を持つ1階部分を利用しないと2階部分を利用することはできません。
ここで注目したい点が最大運用額です。
新NISAの非課税期間は最長5年間で非課税投資枠は最大610万円であるのに対し、つみたてNISAは非課税期間が20年と長いため最大800万円が非課税投資枠になります。
つまり、非課税投資枠の総額のポイントだけに注目すると、新NISAよりつみたてNISAのほうが190万円もお得に資産形成できることが分かりますね。
投資に回せるお金が年間100万円未満の場合は非課税のメリットを十分に生かせないため、コツコツ資産形成するつみたてNISAの方が向いているかもしれませんね。
●まとめ●
以上、つみたてNISAのメリット・デメリットや2024年から始まる新NISAについてご紹介しました。
つみたてNISAは最長20年間も利益が非課税になることに加え、あらかじめ購入商品が絞られていたり購入タイミングの判断が不要であったりと、投資初心者も始めやすい投資制度だということが分かります。
将来の資産形成のためにも、生活に負担にならない少額の資金から始めてみてはいかがでしょうか。